神奈川県藤沢市辻堂
計画中
敷地面積:352㎡ 建築面積:274㎡
延床面積:2115㎡
構造:重量鉄骨造 地上8階/地下1階
用途:飲食店舗
シェアストア型ビルのプロトタイプへ
JR辻堂駅前に計画中の商業ビルプロジェクト。テラスモール湘南の開発以降、住みたい街ランキングでも毎年上位にランクインするなど、湘南エリアを代表する街として益々注目されています。
本プロジェクトの敷地は、前面に幅12mの公道、背面はJRの線路に挟まれた、駅まで徒歩1分ほどの絶好の立地でありながら、RC造の店舗付きマンションの老朽化は激しく、地権者の方々は数年にわたって建て替えの計画を進めていました。しかし大手デベロッパーからの提案は開発コストや販売計画を立てやすい分譲マンションのプロジェクトばかりのため、必然的に地権者への買取価格も低くなり、計画も中々進まない状況でした。
そこで商業空間としてのポテンシャルの高さを活かした商業ビルを計画し、前面道路よりも遥かに多い乗降数や歩行者数を誇る辻堂駅のホームやコンコースからの視認性を確保するため、道路側と線路側の両面を全面的にガラスサッシとしています。また多くの商業ビルのような外気を遮断するFIX窓ではなく、バルコニーを併設した開閉可能な引き違い窓を並べることで、屋外で過ごしやすい季節や晴れた日には、風が通り抜ける半屋外空間に変化させることができます。
有名ブランドや巨大資本によるフランチャイズ系の店舗が大半を占めるテラスモール湘南とは違った魅力を持つ、地元の個人や中小資本による飲食店が集まるような、全く新しいフードパークとして賑わう場所。
一方で事業主は国内外のファンド等への売却も視野に入れて開発する必要があるため、良いデザインやコンセプトだけでなく、収益不動産として高い収益性が求められます。
そこで各フロアは壁等で仕切らないフードコート型とし、まるで公園の祭りの出店のように、多種多様な飲食店が客席を共有スペースとして構築する形としました。
シェアハウスやシェアオフィスの店舗版ともいえる「シェアストア」により、ビル側はテナント数と基本賃料+売上に応じたレベニューシェアによる賃料収入の最大化を獲得し、テナント側は共有の客席や簡易的な厨房設備のみで済むため、出店コストや集客リスクを大幅に減少させることが可能となります。
ファサードはガラスとホワイトに塗装された柱とスラブで構造美をシンプルに表現し、各フロアの天井と床はコンクリートのスケルトン仕上げによる「土地の高層化」は、フレキシブルな商業空間として、シェアリングエコノミー的な飲食ビジネスに貢献できると考えています。
多くのショッピングモールのような閉鎖的なフードコートではなく、道路やホーム、コンコースの歩行者からは各フロアの賑わいを感じることができ、各フロアからは街の風景を眺められることで、街としての繋がりを感じられるような、光と風が通り抜ける商業ビルのプロトタイプを目指します。